さぽろぐ

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2004年10月28日

苦笑い。

ボスが、ある会社の決算をまとめている。
この会社は、昨年の9月で解散したが、まだ清算できていない。
ボスは10年以上前から、この会社の社長に、早く商売をやめるように勧めていた。しかし、土地の名士と言うプライドから、なかなか聞き入れてもらえなかった。
この会社の創業者は、ボスの友人(同級生)のお父様であり、今の社長は、友人のお兄さんである。そして、ボスの友人は、専務取締役。
このまま会社を続けていても、借金は増え続け、住む家さえもなくなる・・・と言うボスの説得を、ようやく理解してくれたのが、昨年の夏だった。普通の状態なら、友人のお兄さんに言うべきことではない。
しかしボスは冷静に、そして丁寧に説明を続けた。友人を、この年齢で無職にするのだ。友人の家も、債権者に取られる。それでも会社を清算するように勧める。ボスの胸中は複雑だっただろう。
昨年の今ごろだったと記憶している。「何かお手伝いできることはありますか?」と聞くと「解散の登記をしてくれるか?」と言われた。「それだけで良いんですか?」と聞くと「わしが死に水を取ってやらな、しゃあないからなぁ」と言っていた。
解散登記の手続きで、その会社へ伺ったとき、経理の方に言われた。「大先生は冷たいな。もう会社なんか、はよ潰せ。商売なんか、はよやめてまえ。って、そればっかり言うてはったわ」と。
あのね、ボスだって、言いたくて言ったんじゃないのよ。あなただってわかっているでしょう?ボスが、一番最初に「会社を清算した方が良い」と言ったときに清算できていたら、今みたいになっていないのよ。今となっては、家だって、賃貸物件だって、残らない。個人の財産も、みんな会社へ注ぎ込んだのよ。せめて個人の財産は残してほしかったから、ボスは、早い時期から言いたくもないことを言って、嫌われ者に徹底したじゃない!・・・と喉まで出かけたが、言えなかった。
そして清算もできないまま一年が過ぎてしまった。黙々と仕事を進めるボス。辛くて、寂しくて、やりがいのない、お金にならない仕事だ。
「お手伝いを・・・」と言いかけて、やめる。去年の「わしが死に水を取ってやらな・・・」と言ったときの、ボスの苦笑いを思い出してしまう。
今日は「9時から『黒革の手帳』を見るんや」と嬉しそうに言っていた。仕事のことなど、何もかも忘れて、テレビを楽しんでほしい。

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Posted by うさぎ at 21:33│Comments(0)仕事
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